ティム・デ・パラビチーニが主催するEAR ブランドは、30年以上に渡って真空管を核とするアンプ類を開発、そして世に送り出し、多くのプロミュージシャンやスタジオエンジニア、またオーディオ愛好家達からの支持を頂いて来ました。
これまでにも数多くの他社ブランドのアンプデザインやコンサルタント、アドバイザーをつとめてきたパラビチーニは、数々のソリッドステートアンプも設計して来ましたが、自身のEAR ブランド下で、それを発表した事はありませんでした。
それゆえにEAR ブランド初となるソリッドステートアンプは、特別なモノにならなければならなかったのです。
プロフェッショナルのレコーディングスタジオ機材を数多く手がけてきたパラビチーニの機器らしく多くの入出力端子を装備し、様々な環境下においても対応出来る仕様としています。
合計8つの入力:バランス(トランスカップリング)x3、シングルエンドx4、フォノ、そして6つの出力:バランス(トランスカップリング)x 3,アンバランス(トランスカップリング)x3が設けられ、それぞれの特性を考慮して別々のワインディングを施されたトランスを介して最大同時に6つのパワーアンプを駆動できます。
フォノセクションはピュアなクラスA 構成となっており、MM はダイレクトにインプットトランジスタへ、MC はダイレクトにステップアップトランスへ接続され、リレースイッチを介して選択ができます。
信号のロスが発生しないように可能な限り短い接続にする事も配慮され、これらの結果、ローノイズで高いヘッドルームを確保し、インダクターを使用するユニークなEAR フォノステージのRIAA 特性を完全に安定させます。
「EAR 312」の基本サーキットはトランジスタを3つのみ使用したシングルエンド構成で、極めて真空管的なサーキットアプローチが採られています。
これによりトランジスタ特有のゲインを抑えると共に、トランジスタらしからぬスイートさと透明度を表現できるようにデザインがなされました。
そして非常に高いインプット、及びアウトプットにおけるヘッドルームとローノイズ、ローディストーションを確保することで、他の機器とも極めて優れた相性を持ちます。
またパラビチーニ/EAR の卓越したトランス、及びインダクター技術により、電源はチョークインプットフィルターを介して入力され、ここでもローノイズを実現しています。
ヴォリュームコントロールには4つのポテンショメーターを使用し、ハイクオリティーで正確、そしてささやくような静かなレベルまでも表現します。
そしてフロントパネル中央のフェシアに印象的なサーキットゲインを表示するメーターを配置し、エレガントな音と音楽が醸し出されてくるような佇まいとしました。
「King of Tube」と呼ばれ続けてきたパラビチーニが贈るソリッドステートの調べ。
真空管使いの名手が語る音楽性への回答がここに宿ります。
※生産終了しました