「King of Tube」「King of Analog」の代名詞とも呼ばれるパラヴィチーニは、デジタル系音源やソースが相当発達してきたとは言え、現時点でもアナログレコードの奏でる音楽が、音楽再生芸術の最高峰であると語ります。
(ちなみにデジタルがアナログとほぼ同等のクオリティーになるには、最低でも24bit / 500KHz以上は必要と説いています。)
そのプロフェッショナルなレコーディング機材の製作やアップグレードモディファイの活動の中には、録音スタジオのマスターテープマシンやアナログレコードのカッティングマシンのヘッドアンプ等も含まれ、音源自体をいい音で録音しソフト側のクオリティーアップにも尽力し多大な功績を残して来ています。
高音質で人気の高い「モービル・フィデリティー」のアナログ盤やSACDのリマスタリングにもパラヴィチーニの手が加わった多くの機材が使用されていることは、良く知られています。
中でもアナログレコードへ音楽という命を吹きこむ機材であるカッティングマシンにすら精通するオーディオエンジニアは、世界的にも極めて稀有な存在であることは間違いなく、まさに「King of Analog」の称号に相応しい、アナログに対する匠の技と耳と、そして情熱を持ち合わせているのです。
「EAR 834P」は、その素晴らしい音で録音した盤はもちろんのこと、アナログレコードの持つ高い音楽的ポテンシャルを更に感動的にするために、パラヴィチーニが考案した管球式フォノイコライザーのベストセラーモデルです。
「EAR 834P」には3本の13D16 双三極管が使用されています。
管球式フォノサーキットは、本質的にヴォリュームを上げていくと聴こえてくる「チューブ・ラッシュ」と呼ばれるヒスノイズを持っているために、ゲインがある程度限定されてきます。これは出力の高いMMカートリッジの場合は、ほとんど問題ありませんが、オーディオファイルが好む出力の低いMCカートリッジの場合はゲインが不足がちになります。
そして多くのエンジニア/デザイナーが、音質クオリティーを妥協せずにゲインを上昇させるためのジレンマに陥ります。
一般的に真空管を追加してゲインステージを増やすとノイズ問題が悪化します。
この問題を解決するためにしばしば採用される方法は、トランジスタを入力段に使用して、増幅してからチューブセクションへ送りS/Nを改善する「ハイブリッド」タイプがあります。
もう1つは、MCカートリッジの出力が低い場合に電流量を驚くほど高くするという方法です。この場合には、ノイズレベルを低く保ったまま、この電流を電圧ゲインに変換するための優秀なトランスフォーマーが必要不可欠になります。
「EAR 834P」にはパラヴィチーニがデザインしたトロイダルトランスフォーマーが使用され、管球式フォノイコライザーとして極めて優秀な静寂性を実現しました。
また、音質劣化を防ぐためにサーキットは可能な限りシンプルに、配線関係も極力短くし、RCAジャックもPCボードにダイレクトマウントされます。
こうしてパラヴィチーニ/EAR製品の特徴である静けさの中から生まれる、ナチュラルでダイナミックで、そして深い奥行き感のある立体的なサウンドステージが楽しめます。
ソリッドでタイトなベース、速く透明なトップ、そしてエモーショナルで水分を豊富に含んだようなミッドレンジがハーモニーの中で絶妙なスペクトラムを展開し、特にストリングスやヴォーカル等のミッドレンジを主体としたサウンドに対するディテールや雰囲気の表現はうっとりするほど魅力的です。
「良いデザインの秘訣は、1番高いパーツを使用することではなく、コストに見合った部品で、それ以上のクオリティーを持つ音楽を奏でられることだ。」
アナログを知り尽くす名匠が生んだ、ハイコストパフォーマンスフォノイコライザー「EAR 834P」が、貴方の愛聴盤から更なる感動を紡ぎ出すことでしょう。
Specifications:
●方式: 管球式NF型
●入力感度: (1kHz@1V output) MM2.2mV、MC 0.22mV(40Ω)
●出力: RCA 1系統
●歪率: 0.2%(2Vアウトプット時)
●最大出力: 14V
●S/N比: -80dB(IHF)
●使用真空管: 13D16×3
●消費電力: 12W
●サイズ: W140 x D325 x H105 (mm)
●重量: 3.2kg (De-Luxe 3.5kg)
※834P MM/MC(ブラック、デラックス) は40Ω仕様のみとなります。