EAR 912 

Professional Tube Control Centre 

真空管ートランスカップリングの技巧が全ての音楽に艶と潤いを与える。パラヴィチーニの集大成とも呼ぶべき最高級プロ仕様プリアンプ。

「EAR 912 / Professional Tube Control Centre」は、半世紀近くに及ぶティム・デ・パラヴィチーニのプロスタジオワークの経験に基づいたノウハウが結晶した、音楽再生装置の集大成とも言える最高級管球式プリアンプ(コントロールアンプ)としてデザインされています。

 

アナログレコードファン、また最新のマルチソースラインシステムにおいても、最高音質が楽しめるように、パラヴィチーニサウンドの奥義とも言える「真空管ートランスカップリング」の技巧がサーキット全編に渡って散りばめられています。

この「真空管ートランスカップリング」の可能性を全て引き出すために、トランスフォーマーのドライブ側とフィードバック側にそれぞれ独立したワインディングが施され、ハイクオリティー、ハイパフォーマンスなサーキットがここに完成しました。

特に高いヘッドルームとローノイズを実現させるために、最大限の配慮がなされ、最高級管球式プリアンプ(コントロールセンター)として考えうる音質と豊富な機能を有します。

 

特徴的な機能の1つとしてパラヴィチーニが新たにデザインしたMCカートリッジの昇圧トランスを内蔵したハイクオリティーなフォノステージが挙げられます。

トランスカップリングされたMCフォノ入力は、3、6、12、40Ωのタップが設けられ、様々なMCカートリッジのインピーダンスに対応できます。

MMセクションは47kΩとし、入力はダイレクトに初段の双三極管(PCC88)へ接続されます。スイッチでMM/MCの切換えが可能です。Stereo/Monoスイッチも設けられ、Decca、RCA、Capitol等の1950年代の素晴らしいMono録音を楽しむことが出来るでしょう。

また2系統が設けられたフォノ入力により、2つのターンテーブルを接続したり、ダブルアーム仕様によるトーンアームやカートリッジのサウンドの違いを楽しむことも簡単に出来ます。

 

管球をベースとしたRIAAイコライゼーションサーキットには、キャパシターよりもオーバーロードが少なく、耳障りにならないように、パラヴィチーニがカスタムワインディングしたインダクターが使用され、またフォノステージからラインステージへの移行もトランスフォーマーを介して行われます。

これにより、高いスタビリティーとヘッドルーム、ローノイズ、低歪みを実現しています。「EAR 912」は全てシングルエンドのピュアクラスAサーキットです。

 

トランスフォーマーによるサーキットアプローチは、電気的な効率やピュアなサウンドクオリティーを高めるためのものだけではなく、機能を多様化できるメリットも生みます。

フロントパネルに設けられた3ポジションのアッテネータースイッチは、トランスの2次側にタップを設け、フルゲイン、-6dB、-12dBが選べます。これにより抵抗式アッテネーターで問題となる様々なソースとのインピーダンスのマッチングに関係なく容易にアッテネートが可能となり、様々なカートリッジのベストなセッティングを引き出せます。

 

全てのバランス/アンバランス入力はリレーを介して切換えられます。

内部回路を可能な限り短くして音質劣化を防ぐ配慮がなされ、ヴォリュームコントロールも最高品質のパーツが使用されています。

使用される真空管は、豊富な供給量を誇る双三極管:PCC88(7DJ8)が、フォノステージに3本、ラインステージに2本使用され「真空管ートランスカップリング」サーキットの一翼を担います。

 

アウトプットステージにおいても、「真空管ートランスカップリング」のスペシャル技法が採用されています。

「EAR 912」にはそれぞれフォノとXLRステージの出力段に、特性に合わせて個別にワインディングされた出力トランスを持ちます。出力トランスの1次側は最終段の双三極管:PCC88のアノードサーキットへ、そして2次側はそれぞれ2系統づつ設けられたバランス(XLR)とアンバランス(RCA)のアウトプットへ接続され、ハムのループをも排除しています。

また、バランス、及びアンバランスのアウトプットは同時出力が可能となっており、トータルで4つのステレオシステムに接続が可能です。バイアンプ接続はもちろん、それ以上のシステムアップにも対応でき、贅沢なミュージックライフを堪能出来るでしょう。

 

エクステリアは、パラヴィチーニのプロフェッショナルスタジオにおけるハイエンド機器のエッセンスがフェードバックされたラックマウントスタイルとなっており、EARエンスージアスト達の心をくすぐることでしょう。

また、「スペード・タイプ・ポインター/針」を持つ、印象的なカスタムメイドのアナログVUメーターは、ラインステージのヴォリュームコントロール前に配置され、アベレージのラインヴォルテージを表示します。

クリームカラーの文字盤は、離れた場所からもおおよそのラウドネスが読めるように配慮され、様々なインピーダンスやアウトプットヴォルテージを持つフォノカートリッジのセッティングを楽しくしてくれるでしょう。

 

パラヴィチーニがリファインを重ね、進化を続けてきた「真空管ートランスカップリング」というオリジナルのスペシャル回路がふんだんに使われた「EAR 912」。

驚異的な静寂性は、かすかな音の瞬きをも逃さず捉え、楽器の持つ固有のアタックを瞬間的に豊かな音圧で発音し、倍音を艶やかに、豊かに響かせながらナチュラルに減衰してゆくサスティーンを追い続け、さらには減衰しながら耳に届く残響や反射音、自然なリバーブ感やエコー感が、その音楽が録音された時の部屋の様子までをも目の前に描き出します。

サウンドステージは、あくまでもナチュラルに横方向と縦方向へのパノラマ感を映し出しながらも、圧倒的な奥行きを感じさせるパラヴィチーニ/EARならではの立体的な3Dサウンドが、いつもの愛聴盤から新たな喜びを感じさせてくれることでしょう。

 

世界最高峰の耳を持つ音のプロフェッショナル達が探し求め、そして録音された超一流の音楽を、ナチュラルに、艶やかに、そしてドラマチックに再生する「EAR 912」。

美しい音楽を、さらに美しく、感動的な音色を、さらに感動的に。

新たな音楽からの衝撃を体感したいミュージックエンスージアストの方々へ贈るパラヴィチーニ渾身の作品です。

 

Design

パラヴィチーニ/EARの集大成と呼ぶべき最高級プロ仕様プリアンプ。

 

「EAR 912 / Professional Tube Control Centre」は、半世紀近くに及ぶティム・デ・パラヴィチーニのプロスタジオワークの経験に基づいたノウハウが結晶した、音楽再生装置の集大成とも言える最高級管球式プリアンプ(コントロールアンプ)としてデザインされています。

 

プロスタジオにおいて、最終的に人々の手に渡ってゆくアナログ・レコードやCD等のソフトの原盤を作成する作業をマスタリングと言います。例えばアナログ・レコードの場合、マスターテープ等に収録された音源を再生し、その音楽信号をラッカー盤と呼ばれるやや柔らかいビニール盤の表面に、カッティングマシン(Lathe)を使って音溝を刻み込んで行きます。このグルーブ(音溝)が刻まれた盤をプレイバックし、どのような音質、音量、音圧であるかをチェックします。

つまりこの時の音楽の響き方が、世界中の人々が自宅のリスニングルームで耳にする音楽の響きとなるのです。ゆえに、いかにマスターテープ等に吹きこまれたオリジナル音源に近い状態で再生出来ているか、そこに装置の持つ固有のクセが影響していないかどうかをチェックする事が非常に重要になるのです。

 

「EAR 912」は、このようなシビアなプロの環境下での使用を目的としてデザインされたプロフェッショナル・コントロール・センターです。

入力された音楽信号を、その鮮度とダイナミクスと音楽性を保ったまま、いかに出力出来るか、これは簡単そうに聞こえますが、実に難しいエレクトロニクス技術なのです。「EAR 912」は、それを実現させるために、パラヴィチーニサウンドの奥義とも言える真空管とトランスフォーマーを独自の回路で結合させた「トランスカップリング」の技巧をサーキット全編に渡って散りばめ、ワイドなレンジとナチュラルな音楽描写、しかし決して冷淡にならない、しなやかな優しさを持ち合わせます。

世界のトップスタジオやミュージシャン、エンジニア達が求めるマスターサウンドが貴方のリスニングルームで楽しめます。

 

研ぎ澄まされたフォノステージとハイスペック機能を有した、

プロスタジオのハイクオリティーサウンドを操る。

 

特徴的な機能の1つとしてMCカートリッジの昇圧トランスを内蔵したハイクオリティーなフォノステージが挙げられます。MCフォノ入力は、3、6、12、40Ωが設けられ、様々なMCカートリッジに対応。MMセクションは47kΩとし、入力はダイレクトに初段の双三極管(PCC88)へ接続されます。MM/MCの切換えが可能。Stereo/Monoスイッチも設けられ、Decca、RCA、Capitol等の1950年代以前の素晴らしいMono録音も楽しめます。2系統のフォノ入力は、2つのターンテーブルを接続したり、ダブルアーム仕様によるトーンアームやカートリッジのバリエーションを楽しめます。管球をベースとしたRIAAイコライゼーションサーキットには、キャパシターは使わず、パラヴィチーニがカスタムワインディングしたインダクターが使用され、またフォノステージからラインステージへの移行もトランスフォーマーを介して行われます。

 

これにより、高いスタビリティーとヘッドルーム、ローノイズ、低歪みを実現。「EAR 912」は全てシングルエンドのピュアクラスAサーキットを採用。トランスによるサーキットアプローチは、電気的な効率やピュアなサウンドクオリティーを高めるだけでなく機能を多様化できるメリットも生み、3ポジションのアッテネータースイッチはトランスの2次側にタップを設け、フルゲイン、-6dB、-12dBが選べます。これにより抵抗式アッテネーターで問題となる様々なソースとのインピーダンスのマッチングから開放され、VUメーターのレベルをモニターしながら様々なカートリッジのベストなセッティングを引き出せます。入力切換えは、バランス1、バランス2、フォノ、CD、AUX1、AUX2。またミュートスイッチ、テープモニター等、プロスタジオユースの機能が満載され、ハイクオリティーな音質をコントロールする悦びを楽しめます。

Performance

チューブパワー&テクノロジー

 

現在ではほとんどその役目を終え、一般的な電気製品の回路の用途(増幅や整流など)としては、半導体に主役の座を譲った真空管ですが、オーディオアンプやギターアンプ等では、未だに現役最前線で活躍している事はご存知の通りです。

真空管の利点には諸説がありますが、主に音響装置に多くの製品供給を見つけることが出来る最大の理由は、理屈抜きに「音の響きが好き」と感じる人々が多く存在するから他にありません。

「King of Tube」の異名を持つパラヴィチーニは、デザインされた作品の多くに真空管を多用しています。しかし、真空管の響き以上に、真空管自体が持つ機能的な特性に着目して装置の回路を構築するため、真空管の種類にはそれほどこだわらず、なるべく長期の使用に耐えれるような供給量の豊富な型番を選びます。

真空管のアドバンテージとしてパラヴィチーニが考慮するポイントは、まず平均的に見てゲインがトランジスタよりも高いこと、トランジスタのような蓄積時間(スイッチングタイム)が真空管にはほとんど無いため、非常にハイスピードであること、また高周波のハイパワーが出力できること。これらの特徴を後述する広帯域、高効率のトランスフォーマーと上手にマッチングさせ、そこに回路設計の妙が組み合わされてパラヴィチーニ/EARサウンドはデザインされます。

「EAR 912」は双三極管PCC88 (7DJ8) を、フォノ部に3本、ライン部に2本の合計5本を使用した回路を採用しています。

 

 

トランスフォーマー・レヴォリューション

 

パラヴィチーニ/EARサウンドの中枢であり、システムの心臓部とも言えるトランスフォーマー。一般的に1つの回路から交流電力を供給され、電磁誘導作用により他の回路に電力を供給する装置、つまり電気エネルギーを磁気エネルギーに変換し、さらに電気エネルギーに変換する装置を指します。

トランスは主に銅線を鉄心(コア)に何百、或いは何千回と巻きつけた構造をしていますが、変換効率に優れ(損失が低い)音楽的な美しい響きを持つトランスフォーマーを造ることは簡単ではありません。巻線のゲージ(太さ)やターン数(巻数)、テンション(巻く強さ)、巻き方(巻線の重ね方)等々のファクターが複雑に関係しあって音色が変化します。トランスに限らず、同様の巻線(コイル)構造を有する音響装置であるスピーカーやマイク、レコードプレーヤーのカートリッジ、またギターのマイク(ピックアップ)等も、これらのコイルの構成要素が、独自の音色を造り出します。しかし、これらの要素を上手に導き出して設計しないと直ぐに様々な損失が発生して変換効率が低下します。特に高周波は巻線の抵抗値が増加して変換効率が格段に落ちるという短所があります。真空管アンプの「ウォームなサウンド」とは、実は綺麗な高域を出力できない、変換効率の悪いトランスの音と言っても過言ではありません。

トランス造りの名匠でもあるパラヴィチーニが長年の経験で得た技巧を駆使し、使用する真空管と回路特性を考慮しながら手巻きでデザインしたオリジナルの高効率・広帯域トランスが、あのEARの澄み通るような高域を創り出しているのです。

 

 

非凡なセンスを感じさせるオリジナルサーキット

 

アナログレコードファン、また最新のデジタルマルチソースラインシステムにおいても、最高音質が楽しめるように、「真空管ートランスカップリング」の技巧がサーキット全編に渡って散りばめられています。

全てのバランス(2系統)/アンバランス(3系統)入力はリレーを介して切換えられます。内部回路を可能な限り短くして音質劣化を防ぐ配慮がなされ、入出力用のコネクター類は、全てサーキットボードにダイレクトマウント。リモコン操作が可能なアナログ式ヴォリュームコントロールも最高品質のパーツが使用されています。

アウトプットステージにおいて、「EAR 912」にはそれぞれフォノとXLRステージの出力段に、特性に合わせて個別にワインディングされた出力トランスを持ち、出力トランスの1次側は最終段の双三極管:PCC88のアノードサーキットへ、そして2次側はそれぞれ2系統づつ設けられたバランス(XLR)とアンバランス(RCA)のアウトプットへ接続され、ハムのループをも排除しています。

また、バランス2系統、及びアンバランス2系統のアウトプットは同時出力が可能となっており、トータルで4つのステレオシステムに接続が可能です。バイアンプ接続や、様々なシステムアップにも対応でき、まさに「コントロールセンター」に相応しい贅沢なミュージックライフを堪能出来るでしょう。

 


Specifications

  • フォノ入力: RCAx2系統
  • ライン入力: RCAx3系統、XLRx2系統              
  • テープアウト: テープモニターx1 系統
  • 出力: RCAx2系統、XLRx2系統
  • ラインアンプゲイン: 14 dB (reference sensitivity = 775 mV for “0"dB V.U. = 3 V output)
  • ラインアンプ:
    • S/N比 = 90 dB (1v out ref)
    • 歪率 = Less than 0.1% 1 kHz 3 V output
    • 周波数特性 = 20-20 kHz + 0-0.3 dB
    • 最大出力 = 6V, 600 Ω  either output
  • フォノセクション: 入力2系統 (MM/MC)
    • 入力インピーダンス: MM = 47 kΩ
    • オーバーロードマージン = 28 dB
    • MC セレクション = 40 Ω, 12 Ω, 6 Ω, 3 Ω
    • ゲインセッティング = 0, -6, 12 dB
    • ゲイン MM = 2.4 mv for ‘0' dB V.U. (50 dB)
    • MC = 0.24, 0.15, 0.1, 0.06 mV @1 kHz (70 dB) (73 dB) (76 dB) (80 dB)
    • RIAA Accuracy = 0.2 dB, 30 Hz-20 kHz
    • S/N比 = 68dB ref 2.4mv unweighted
  • 使用真空管:PCC88 (7DJ8) x 5またはECC88(6DJ8)x 5
  • 消費電力:30W(100v, 117v or 230v country dependent)
  • 重量:13.5kg
  • サイズ:W485 x H145 x D300mm
  • ファシリティー: テープモニター
  • フロントパネル:
    • ミュートスイッチ
    • Mono/Stereo スイッチ
    • インプットセレクター
    • ヴォリュームコントロール
    • Phono 1, Phono 2
    • MM/MC
    • MC 入力インピーダンススイッチ
    • ファンクションセレクター:
    • BAL1, BAL2, Phono, CD, Aux1, Aux 2
  • リモコン: ボリュームのアップダウンのみ

※シルバーカラーは特注となります。